友人のサプリ探しの長い旅路
私の友人であるAは、真面目で研究熱心な男だ。20代後半から薄毛を気にし始めた彼は、あらゆる育毛情報を収集し、その知識は素人離れしていた。そんな彼が最初に手を出したのが、インターネット広告で大々的に宣伝されていた、月額1万円以上もする高価なサプリだった。「最新の独自成分配合!」という謳い文句に、彼は未来への希望を託した。しかし、3ヶ月飲み続けても、彼の頭皮に奇跡は起こらなかった。それどころか、毎月の出費が重くのしかかり、彼は経済的にも精神的にも疲弊してしまった。次に彼が向かったのは、正反対の道だった。海外のECサイトで見つけた、驚くほど安価なノコギリヤシのサプリだ。日本の製品の半額以下で手に入るそのサプリに、彼は「これでコストを抑えて長期戦に臨める」と意気込んだ。しかし、送られてきたボトルは、ラベルの印字が不鮮明で、中には明らかに形の違うカプセルが混じっている。その怪しさに、彼は怖くて一粒も飲むことができなかった。「安物買いの銭失いとはこのことだ」と、彼は肩を落とした。サプリ探しの旅に疲れ果てたAが、最終的にたどり着いたのは、近所のドラッグストアの薬剤師への相談だった。彼は、これまでの失敗談を正直に打ち明けた。薬剤師は、彼の話をじっくりと聞いた上で、特定の高価な製品を勧めるのではなく、「まずは、基本となる亜鉛とビタミンB群を、信頼できる国内メーカーの製品で補ってみてはどうですか。価格も手頃で、続けやすいはずですよ」とアドバイスをくれた。Aは、その地に足の着いた提案に、なぜか心が安らぐのを感じたという。派手な広告や安さではなく、信頼性と継続性。彼の長い旅路は、サプリ選びで本当に大切なことは何かを、身をもって教えてくれたようだった。