かつら

AGA治療の医療費控除。対象になるケースとならないケース

AGA(男性型脱毛症)治療は自由診療であり、高額になることも少なくありません。そのため、「治療費を医療費控除の対象にできないか」と考える方もいらっしゃるでしょう。医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得税や住民税の還付・軽減を受けられる制度です。しかし、結論から言うと、AGA治療費は原則として医療費控除の対象とはなりません。その理由は、AGA治療が「美容目的」と見なされるためです。医療費控除の対象となる医療費は、「医師又は歯科医師による診療又は治療の対価」とされていますが、これには「容姿を美化し、又は容ぼうを変えるなどのための費用は、原則として含まれない」という規定があります。AGA治療は、薄毛という外見上の悩みを改善することを主たる目的としているため、この「容姿を美化する」ための費用に該当すると判断されるのが一般的です。したがって、AGA治療のために支払った薬剤費(フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルなど)や診察料、検査費用などは、医療費控除の対象外となります。では、例外的に医療費控除の対象となるケースはあるのでしょうか。非常に稀なケースですが、もし薄毛の原因がAGAではなく、他の明確な「疾患」であり、その治療のために医療機関で診療を受け、薬剤を処方された場合には、その費用が医療費控除の対象となる可能性はあります。例えば、円形脱毛症や、甲状腺疾患、膠原病といった全身疾患に伴う脱毛症などがこれに該当し得ます。これらの場合、脱毛は疾患の症状の一つとして捉えられ、その治療は病気の治療の一環と見なされるためです。しかし、これはあくまでAGAとは異なる原因による脱毛症の場合であり、AGA治療そのものが医療費控除の対象になるわけではありません。また、AGA治療と並行して、他の保険適用の疾患の治療を受けている場合、その保険適用の治療費については当然医療費控除の対象となりますが、AGA治療費は別途分けて考える必要があります。医療費控除の適用については、最終的には税務署の判断となります。もし、ご自身の状況が医療費控除の対象となるか不明な場合は、管轄の税務署や税理士に相談することをお勧めします。しかし、AGA治療に関しては、原則として医療費控除の対象外であるという認識を持っておくことが重要です。