かつら

湯シャンと私の髪、二年間の軌跡を辿る

私が「湯シャン」という言葉を初めて耳にしたのは、今から二年ほど前のことでした。当時、私は繰り返す頭皮の湿疹と、それに伴うかゆみ、そして年々細く弱っていく髪に悩まされていました。皮膚科で処方される薬を使えば一時的に症状は治まるものの、根本的な解決には至らず、高価な育毛シャンプーやトリートメントを試しては落胆するという日々。そんな時、インターネットで湯シャンの存在を知り、藁にもすがる思いで試してみることにしたのです。最初の数週間は、正直なところ、かなり苦労しました。長年シャンプーの豊かな泡とすっきりとした洗い上がりに慣れていたため、お湯だけで洗うことへの抵抗感は想像以上でした。髪はべたつき、頭皮の臭いも気になり、「やはり私には無理なのかもしれない」と何度もくじけそうになりました。しかし、「最低でも一ヶ月は続けてみよう」と心に決め、丁寧に頭皮をマッサージするように洗い、しっかりとすすぐことを心がけました。すると、一ヶ月を過ぎた頃から、少しずつ変化が現れ始めたのです。まず、あれほど頑固だった頭皮の湿疹とかゆみが、明らかに軽減されました。そして、髪を乾かした後の手触りが、以前よりも柔らかく、しなやかになったように感じたのです。三ヶ月が経過する頃には、髪のべたつきや臭いはほとんど気にならなくなり、むしろシャンプーを使っていた頃よりも頭皮がスッキリとし、髪に自然なツヤが出てきました。何より嬉しかったのは、以前よりも髪一本一本がしっかりとしてきたように感じられたことです。もちろん、湯シャンだけで髪が劇的に増えたり、太くなったりするわけではありません。しかし、頭皮環境が整ったことで、髪が本来持つ力を取り戻し始めたのかもしれないと感じました。二年が経過した今、私は完全に湯シャン生活を送っています。たまに特別な日や、汗をたくさんかいた日には、ごく少量のシャンプーで予洗いをすることもありますが、基本はお湯だけです。頭皮のトラブルはすっかり影を潜め、髪は以前よりも健康的な状態を保てています。美容院に行くと、美容師さんからも「頭皮がきれいですね」と言われるようになりました。湯シャンは、全ての人に合う万能な方法ではないかもしれません。しかし、私にとっては、長年の髪と頭皮の悩みを解決してくれる、まさに救世主のような存在でした。