ヘアサイクルの期間や、1日にどの程度の髪の毛が抜けるのが正常な範囲を理解することで、異常な抜け毛や薄毛の兆候に早期に気づけます。まず、ヘアサイクル全体の期間ですが、これは「成長期」「退行期」「休止期」という3つの段階の合計期間を指します。この中で最も長い期間を占めるのが「成長期」で、頭髪の場合、通常2年から6年程度続くとされています。この成長期が、いわば髪の毛の寿命の大部分を決定づける要素と言えるでしょう。次に、髪の成長が止まる準備段階である「退行期」は比較的短く、約2週間から3週間程度です。そして、髪の成長が完全に停止し、自然脱毛を待つ「休止期」は、約2ヶ月から3ヶ月程度続きます。したがって、単純に合計すると、1本の髪の毛が生まれてから自然に抜け落ちるまでの期間、つまり髪の寿命は、おおよそ2年半から6年半程度ということになります。ただし、この期間には大きな個人差があり、また、性別や年齢、健康状態、さらには体の部位によっても大きく異なります。例えば、眉毛やまつ毛のヘアサイクルは数ヶ月と非常に短いため、頭髪のように長く伸びることはありません。では、1日にどのくらいの髪の毛が抜けるのが正常な範囲なのでしょうか。一般的に、健康な人の場合でも、1日に平均して50本から100本程度の髪の毛が自然に抜け落ちると言われています。これは、ヘアサイクルの休止期を終えた髪の毛が、毛穴の奥で育ち始めた新しい成長期毛に押し出されるようにして脱毛する、ごく自然な生理現象です。特に、シャンプー時やブラッシング時には、これらの休止期毛がまとまって抜け落ちやすいため、抜け毛が目立ちやすく感じることがありますが、この程度の本数であれば過度に心配する必要はありません。しかし、明らかにこれ以上の本数の抜け毛が長期間続く場合や、以前と比較して急に抜け毛が増えたと感じる場合は、何らかの原因でヘアサイクルが乱れている可能性が考えられます。例えば、季節の変わり目、特に春や秋には一時的に抜け毛が増える傾向がありますが、これが数ヶ月以上続くようであれば注意が必要です。また、抜け落ちた髪の毛の質にも注目しましょう。太く健康な髪の毛が抜けるのは自然なことですが、細くて短い、いわゆる「うぶ毛」のような髪の毛が多く抜ける場合は、ヘアサイクルの成長期が短縮されているサインかもしれません。
— 抜け毛 —
ヘアサイクル期間。髪の寿命と抜け毛の正常範囲
2019年6月23日