薄毛対策研究室

2021年6月
  • 美容師が語る湯シャンのメリットと注意点

    かつら

    都内で美容師として長年お客様の髪と頭皮に触れてきた私ですが、近年「湯シャン」について尋ねられる機会が増えてきました。湯シャンとは、シャンプー剤を使わずにお湯だけで髪と頭皮を洗う方法のことです。これには確かにいくつかのメリットが考えられますが、同時に注意すべき点も存在します。まずメリットとして挙げられるのは、頭皮への刺激を軽減できる点です。市販のシャンプーの多くには、洗浄力の高い界面活性剤が含まれています。これが必要以上に皮脂を奪い、頭皮の乾燥やかゆみ、バリア機能の低下を引き起こすことがあります。湯シャンにすることで、これらの化学的な刺激から頭皮を守り、皮脂の過剰な除去を防ぐことができます。結果として、頭皮が本来持つ保湿機能が回復し、乾燥やフケが改善されるケースがあります。また、皮脂バランスが整うことで、過剰な皮脂分泌が抑えられ、頭皮のべたつきが軽減されることも期待できます。さらに、シャンプーによる髪の物理的な摩擦や、すすぎ残しによるダメージも避けることができます。これにより、髪本来のツヤや手触りが戻ってくる方もいらっしゃいます。一方で、注意点もいくつかあります。最も重要なのは、全ての人に湯シャンが適しているわけではないということです。例えば、皮脂分泌が活発な脂性肌の方や、毎日整髪料を多用する方の場合、お湯だけでは汚れや皮脂を十分に落としきれず、毛穴の詰まりや雑菌の繁殖、臭いの原因となる可能性があります。また、湯シャンを始めたばかりの頃は、一時的に髪のべたつきやごわつきを感じることがあります。これは、頭皮の皮脂バランスが新しい洗浄方法に適応するまでの移行期間と考えられますが、この期間が不快で断念してしまう方も少なくありません。正しい湯シャンの方法を実践することも重要です。ぬるま湯で時間をかけて丁寧に頭皮をマッサージするように洗い、しっかりとすすぐことが基本です。ブラッシングで事前に汚れを浮かせたり、洗髪後のドライをしっかり行うことも大切です。もし湯シャンを試すのであれば、まずは週末だけなど、徐々に慣らしていくことをお勧めします。そして、ご自身の頭皮や髪の状態をよく観察し、かゆみや赤み、フケの増加などの異常を感じたら、無理せずシャンプーの使用に戻したり、専門医に相談したりすることが賢明です。

  • ヘアサイクルの乱れ。薄毛、抜け毛の大きな原因

    AGA

    健康な髪を保つためには、ヘアサイクル、つまり髪の毛の成長と脱毛の周期が正常に機能していることが不可欠です。しかし、様々な内的・外的要因によってこのヘアサイクルが乱れてしまうと、髪の成長期が短縮されたり、休止期に移行する髪の毛の割合が増加したりして、結果として薄毛や抜け毛が目立つようになってしまいます。では、このデリケートなヘアサイクルを乱してしまう主な原因には、どのようなものがあるのでしょうか。最も代表的な原因の一つとして挙げられるのが、「ホルモンバランスの変動」です。特に、男性型脱毛症、いわゆるAGAや、女性の薄毛(FAGAなど)は、ホルモンの影響が深く関わっています。AGAの場合、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、5αリダクターゼという酵素によってジヒドロテストステロン(DHT)という強力な男性ホルモンに変換されます。このDHTが毛乳頭細胞に作用すると、髪の成長期が著しく短縮されてしまい、髪が十分に太く長く成長する前に抜け落ちてしまうのです。女性の場合でも、加齢やストレス、出産、更年期などによって女性ホルモンのバランスが崩れると、相対的に男性ホルモンの影響が強まり、同様にヘアサイクルが乱れ、薄毛や抜け毛を引き起こすことがあります。次に、「生活習慣の乱れ」もヘアサイクルに大きな影響を与えます。不規則な食生活による栄養不足は、髪の成長に必要なタンパク質やビタミン、ミネラルの供給を滞らせ、毛母細胞の働きを低下させます。睡眠不足は、髪の成長に不可欠な成長ホルモンの分泌を妨げ、ヘアサイクルの乱れを招きます。過度な精神的ストレスは、自律神経のバランスを崩し、頭皮の血行不良を引き起こし、毛根への栄養供給を阻害します。喫煙も、血管を収縮させて血行を悪化させるため、髪にとっては百害あって一利なしと言えるでしょう。また、「頭皮環境の悪化」もヘアサイクルを乱す重要な要因です。間違ったヘアケア、例えば洗浄力の強すぎるシャンプーの頻繁な使用や、頭皮を傷つけるような洗い方、あるいは皮脂の過剰分泌、頭皮の乾燥、炎症などは、毛穴の詰まりや血行不良を引き起こし、健康な髪の育成を妨げ、ヘアサイクルを狂わせてしまいます。これらの原因が単独で、あるいは複雑に絡み合うことでヘアサイクルが乱れ、多くの人が悩む薄毛や抜け毛の問題へと繋がっていくのです。

  • 女性の薄毛ケアに役立つブラシ活用アドバイス

    AGA

    薄毛に悩む女性にとって、日々のヘアケアは非常に重要です。シャンプーやトリートメントだけでなく、実はヘアブラシの選び方や使い方も、頭皮環境や髪の健康に大きく関わっています。ここでは、薄毛ケアに役立つヘアブラシの活用アドバイスをいくつかご紹介します。まず、ブラシ選びの基本は「頭皮への優しさ」です。薄毛が気になる方の頭皮はデリケートな場合が多いため、刺激の少ない素材を選びましょう。おすすめは、猪毛や豚毛などの天然毛のブラシです。これらは静電気を起こしにくく、髪に自然なツヤを与えながら頭皮を適度に刺激します。また、クッション性のあるブラシや、ピンの先端が丸く加工されているものも、頭皮への負担を軽減してくれるため良いでしょう。ナイロン製でも、目が粗く、先端が柔らかいものであれば問題ありません。次に、ブラッシングのタイミングと方法です。シャンプー前の乾いた髪にブラッシングを行うと、頭皮の汚れやフケを浮かせ、シャンプーの効果を高めることができます。この時、毛先のもつれを優しく解きほぐしてから、根元から毛先に向かってとかしましょう。力を入れすぎると頭皮を傷つける原因になるので注意が必要です。また、頭皮マッサージ効果を期待するなら、パドルブラシなどがおすすめです。頭皮全体を優しくタッピングするようにブラッシングすることで、血行を促進し、毛根に栄養を届けやすくする効果が期待できます。お風呂上がり、髪を乾かす際にもブラシは活躍します。ただし、濡れた髪はキューティクルが開いており傷みやすいため、ドライヤーである程度乾かしてから、目の粗いブラシやコームで優しくとかすようにしましょう。ブローの際には、髪の根元を立ち上げるようにブラシを入れると、ふんわりとしたボリューム感を出しやすくなります。さらに、ブラシは常に清潔に保つことが大切です。抜け毛やホコリが付着したまま使用すると、雑菌が繁殖し、頭皮トラブルの原因になりかねません。定期的にブラシクリーナーなどを使って洗浄し、清潔な状態を保ちましょう。これらのアドバイスを参考に、ご自身の髪質や頭皮の状態に合ったヘアブラシを選び、正しい使い方を心がけることで、薄毛ケアの一助となるはずです。毎日の小さな習慣が、健やかな髪へと繋がります。