AGA

AGAは完治する?治し方のゴールをどう設定する

結論から申し上げますと、現在の医学では、AGAを「完治」させる、つまり病気になる前の状態に完全に戻し、治療を一切しなくても薄毛が再発しないようにすることは非常に難しいのが現状です。AGAは、遺伝的要因や男性ホルモンの影響によって引き起こされる進行性の体質的な変化であり、根本的な原因を取り除くことは困難です。治療薬であるフィナステリドやデュタステリドは、AGAの原因物質であるDHT、ジヒドロテストステロンの生成を抑制することで、薄毛の進行を遅らせ、発毛を促しますが、これらの薬の服用を中止すると、DHTの生成が再び活発になり、AGAは再度進行し始める可能性が非常に高いのです。ミノキシジルも同様に、使用を中止すればその効果は徐々に失われていきます。つまり、AGA治療は、高血圧や糖尿病といった他の慢性疾患の治療と同様に、症状をコントロールし、良好な状態を維持するための「継続的な治療」が必要となるケースがほとんどです。では、AGA治療における「治し方」のゴールはどこに設定すれば良いのでしょうか。これは、患者さん一人ひとりの希望や満足度、年齢、ライフスタイル、経済的な状況などによって大きく異なります。「完治」という言葉に囚われすぎず、より現実的で達成可能な目標を設定することが大切です。例えば、以下のような目標が考えられます。一つ目は、「薄毛の進行を可能な限り遅らせること、現状を維持すること」です。特にAGAの初期段階であれば、これ以上の進行を抑えることを第一目標とする場合があります。二つ目は、「ある程度の毛量回復と見た目の改善」です。薄毛が目立たなくなり、自分自身が満足できるレベルまで毛髪を回復させることを目標とします。三つ目は、「QOL、生活の質の向上」です。薄毛の悩みから解放され、自信を持って社会生活を送れるようになること、髪型を気にせず楽しめるようになることを目指します。これらの目標を達成するためには、医師と十分に相談し、適切な治療法を選択し、根気強く継続することが重要です。治療効果には個人差があり、期待した通りの結果が得られない場合もあります。そのような場合でも、医師とコミュニケーションを取りながら、治療計画を見直したり、新たな目標を設定したりすることが大切です。