AGA治療における「守り」の要として、抜け毛の進行を抑制する内服薬が「フィナステリド(商品名:プロペシアなど)」と「デュタステリド(商品名:ザガーロなど)」です。これらの薬は、AGAの根本原因である脱毛ホルモンDHTの生成を阻害するという、極めて効果的な作用を持っています。しかし、その作用が男性ホルモンに関連するため、いくつかの特有の副作用が報告されています。最も代表的なのが、「性機能に関する副作用」です。具体的には、性欲の減退、勃起機能不全(ED)、射精障害(射精量の減少など)といった症状です。これらの副作用が起こるメカニズムは完全には解明されていませんが、DHTが男性の性機能の一部を司っているため、その生成が抑制されることで影響が出るのではないかと考えられています。ただし、これらの副作用の発現頻度は、臨床試験において1%から5%程度と、決して高くはありません。つまり、100人服用したら、95人以上は何の問題も起こらない、ということです。また、これらの症状が現れた場合でも、多くは薬の服用を中止することで、元の状態に回復することが報告されています。次に、頻度はさらに稀ですが、「肝機能障害」の可能性も指摘されています。薬は肝臓で代謝されるため、もともと肝機能が低下している方や、日常的に多量のアルコールを摂取する方は、肝臓に負担がかかる可能性があります。そのため、多くのクリニックでは、治療開始前や治療中に、定期的に血液検査を行い、肝機能の数値(AST, ALTなど)をチェックします。このほか、精神的な副作用として、気分の落ち込みや抑うつ症状が、ごく稀に報告されることもあります。これらの副作用は、多くの人にとっては無縁のものです。しかし、医薬品である以上、リスクはゼロではないという事実を認識し、服用中に何か体調の変化を感じたら、些細なことでも、すぐに処方してくれた医師に相談することが、何よりも重要です-。